NPO法人ソフトパーク

NPO法人ソフトパーク 本部

〒101-0041
東京都千代田区神田須田町2-3-16
NRT神田須田町ビル3F

TEL:03-5298-8796

FAX:03-5298-8798

INTERVIEW インタビュー

インタビュー 公開日:2010年7月7日(水)

三浦后美 副会長(掲載当時)part3

【紹介】

三浦后美

明治大学大学院経営学研究科修士課程修了、後に経営学博士となる。

現在は

文京学院大学大学院経営学研究科教授
文京学院大学経営学部教授
であり、また

日本財務管理学会常任理事
日本財務研究学会評議員
証券経済学会幹事
も務め、特別非営利活動法人NPOフェア・レーティング常任理事としても活動している。

経営学部教授である三浦后美氏は、現在様々な留学生支援活動を行っている。
氏の活動理念や教育に対する想いについて聞く。

相互理解を持つことによって教育は成立する

三浦氏:
10年前と今とでは教育の舞台が大きく変わっています。
以前の教師は基本的な知識を教えればよく、答えまで出す必要はありませんでした。
教師が問題を定義すれば、学生が技術を身に付け、それを駆使して解決していたのです。
教師の原型に戻りますと、ソクラテス時代のギリシャです。
そこは今で言う町内会のようなもので、何か問題が起きると知識のある人々が集まり問答を繰り広げ解決していました。
その中から、自らの知識をお金と交換で教える人々が現れたのです。
これがソフィストと呼ばれそれが教師の原型と言えます。ソクラテスもソフィストの一人でありました。
しかしソクラテスは、知識の切り売りだけでは本来の問題解決はしていけないのではないかと思うようになります。
そして当時の知識人の様々な集会に参加し問答を繰り返し、あらゆる答えを出し、その答えからまた答えを出す・・・それを繰り返すうちに知識人たちが答えに詰まるときがきます。
これが「無知の知」というものです。
つまり、知らないと解ったときに本当の知恵が湧いてくる、答えはそう簡単に出てくるものではないという事です。
しかし、いつしか学校も知識の切り売りをするようになりました。
私の思う教育とはそうではなく、教えるということは相手から同時に学ぶことでもあるといものです。
教材となるテーマは現場の学生たちが持っています。
私は教えるにしても現場の情報から学ぶことが大切だと思う。
どういう疑問があるのか、それを学生から聞き解決策を提案し意見しあう事で解決していきます。
それが相互理解です。

三浦氏:
はい。
今までのように一方的に知識を与えるだけでは限界になっています。
キャンパスの中で本をずっと読んでいるだけで伸びるという時代ではありません。
今は知識を学びながら現実に起こっている問題をどう解決できるかを教師も共に考えてくことが大事です。
共に話し合い解決することで、どんな立場の人であっても社会を変えて行ける可能性がある事を実感できるという面白い時代なのです。

教育と教化

三浦氏:
物事を教えるにあたっては「教育」「教化」という2つの方法があります。
教育は、教えをお互いに理解し徐々に成長していく、双方向から教えをはぐくむ世界です。
一方の教化は、悪い言い方をすれば「洗脳」ですが、俗に言う「俺について来い」というのがこれにあたります。
「家長制度」についても教化に近いでしょう。
そして世の中は教化の方が強く、教師も一方的に教えるだけのほうが簡単ですから教化を望み、学生も答えだけを知りたいと教化を望みます。
知識だけを詰め込み、疑問もネットなどで調べて終わってしまいます。
そこから掘り下げて考えることが少なくなっているのです。

三浦氏:
そうです。
つまり物事を深く考える事のできる、自分の生き方を個々に持てる人が、世間と関わっていける人だと考えています。
自立した人間同士は協力していかなければならないことが解っています。
しかし自立していない人間が協力し合おうとしても上手く行かないのです。

個々だけではなく、人々が、アジア全体が豊かに

三浦氏:
教育も経営も、根底は人です。
人生は誰と出会ったかによって7割決まると私は思います。
悪友は今日からでも出来ますが、親友はそうはいきません。真の友が出来れば、その友はポジティブな考えを提案してくれます。
どんな人と出会うかによって進む方角が変わる、出会いによって人生が大きく左右されるのです。
これから日本が栄えるには、日本が伝統的に持っていた心や中国の儒教などの教えが大事だと思います。
八百万の神々が共存しているという教えがあり、それにならってそれぞれのリーダーが個々に独立し、かつ支えあう日本にしていきたいと考えます。
ようやく海外にも教え子が増え、次のステップへ進めるようになりました。
グローバルな時代に日本や中国といった境ではなく「アジアの人たち」が共生し地域の文化を尊重するネットワークを作り上げていきたいと願います。

三浦氏:
人間同士の繋がりが基盤だとは話しましたが、関係が馴れ合いすぎると相手を批判できなくなり癒着が出てきてしまいます。
根底の友人関係は何年続いても良いと思いますが、ビジネスにおいては馴れ合いを防ぐためにも人材の入れ替わりといった新風が吹くことも大切です。
物事を変える際に重要なのは、岩を火であぶって形を変えられるか?という事です。
当然、それは不可能であり、岩の形を変えたければハンマーを使います。
逆に、油の形を変えたければ火をつけて燃やせばいいのです。
つまり、それぞれ目的にそった人材を適材に置くことで新しい風となります。
さらに、人が経験できる事は二通りあります。
一つは、自分が直接関わる「直接経験」。
もうひとつは、文献などで得られる他人の「間接経験」です。
この直接経験と間接経験とを融合させて、そこからその人自身の“ものの見方考え方”が育まれていく。
こうして個々に皆が能力を上げることによって、日本だけでなくグローバル社会においてアジア全体が豊かになることを望みます。

インタビュー日時/2010年5月

※所属、役職などはインタビュー当時